身近なラテン語

【必見】ラテン語の略語12選【あなたもすでに使っている?!】

2020年11月6日

 

ラテン語は私たちが使っている言葉の中にもちょくちょく出てきます。

特にラテン語の略語はラテン語だと知らずに使われることが多いので、あなたもすでに使っているかもしれません。

 

この記事ではその中で特によく使うラテン語の略語を厳選して12個紹介します。

文法も解説するので必見です。

 

この記事でわかること

・今でもよく使われているラテン語の略語12選

・略語の意味、文法

・略語の使い方

 

この記事を書いている私は10年以上ラテン語を勉強しています。

文法もしっかり学んできたので、安心して記事をご覧ください。

 

 

1、a. m.

 

 

表記はa.m.の他にA.M.やam、AMもあります。

略さずに書くとante meridiemで意味は「午前」です。

 

n. b. 略語ではピリオド「.」がよく使われますが、これは省略してありますよというマークです。

 

anteは「~の前」という意味の前置詞で、英語のbeforeに相当します。

meridiemは「正午」を意味する名詞meridiesが元です。語尾がsからmになっているのは前置詞と一緒に使われる時に「対格」という形になるからです。

 

あわせて、「正午の前」つまり午前という意味になります。

 

用例:今度の日曜は10AMにいつもの駅前で待ち合わせね♡

 

 

2、p. m.

 

P. M.やpm、p. m.という書き方もありますが、すべて「午後」を意味します。

 

元はpost meridiemで、

postは「~の後」という意味の前置詞

meridiemは「正午」です。元の形はmeridies!

 

あわせて「正午の後」、つまり「午後」となります。

 

a. m. の逆ですね!

 

何年か前まで「am/ pm」(エーエムピーエム)というコンビニエンスストアがありましたが、これは午前も午後も開いている24時間営業という意味が込められています。

 

用例:1PMにこの前できたカレー屋さんでランチしようね♡

 

 

3、p. s.

 

p. s.は手紙やメールを書いていて、全部書き終わってから付け足したいことが出てきた時に使われます。

postscriptの略で日本語だと「追伸」です。

 

元の形のpostscriptは「後で書く」という意味の動詞postscriboの完了分詞(英語の過去分詞に相当)で、意味は「後で書かれたもの」です。

 

用例:

 まりちゃんへ

手紙書くの久しぶり!寒くなったけど風邪ひいてないかな?いつも授業では一緒になるのに話す時間がなくて残念。今度ぜひお茶しながらゆっくり話そう!

 p. s. ラテン語の授業がんばろうね♡

 

 

4、A. D.

 

A. D.はAnno Dominiの略です。

意味は「主の年に」で、西暦の年を表す時に使います。

「紀元後」と訳すこともできます。

 

annoは「年」と言う意味の名詞annusが元です。annoという形(奪格)だと、この一語で「年に」という時を表す意味になります。

 

Dominiは「主」という意味の名詞dominusが元です。「主人」という意味もありますが、ここでは「主(しゅ)」つまりイエスキリストのことです。dominiという形だと「主の」という意味です。

 

あわせてAnno Dominiで「主の年に」という意味です。

 

これはキリストが生まれた年をA. D. 1年、つまり紀元後1年として年を数えていく西暦での概念です。

年を数える時にはどこから数え始めるのかをまず決める必要がありますが、今世界中で使われている西暦では、キリストが生まれた年が基準になっているのです。

 

キリストが生まれた次の年はA. D. 2年つまり紀元後2年

キリストが生まれた前の年は紀元前1年B. C. 1年です。

 

 

今年は紀元後の2020年なのでA. D. 2020となります。でも、文脈から明らかに紀元後のことを言っているとわかる時はわざわざA. D.と言わずに2020年とだけ書きます(よね)。

 

 ここでA. D.に関する余談を3つご紹介

余談1:B. C. は英語のBefore Christの略

余談2:キリストが生まれた年を0年として、翌年をA. D. 1年、前年をB. C. 1年とする方が理にかなっている

余談3:厳密にはキリストが生まれたのはA. D. 1年ではない!残念!

 

まりちゃん

 この前歴史の授業で習ったんだけどね、ローマ帝国の初代皇帝アウグストゥスってB. C.63年生まれでA. D.14年に亡くなったんだって。紀元前と紀元後の両方を生きてるんだよ。なんかすごいよね。

  p. s.アウグストゥスの時代は紀元前と紀元後っていう考え方がなかったから、本人は両方を紀元をまたいだなんて知らないんだって。

 

 

5、vs.

 

v. s.は日本語だと「バーサス」あるいは「ブイエス」です。

元の形はversusというラテン語です!

 

ラテン語のversusはもともと「回す」「向きを変える」という意味の動詞vertoの完了分詞(英語の過去分詞に相当)で、「回された」「向きを変えられた」という意味でした。

 

それが次第に「~に向けられた」「~の方向に」「~に対する」という副詞として使われるようになり、いつしか英単語になって今のような「~対~」という意味になりました。

 

用例:

阪神 VS 巨人

早稲田 VS 慶應

きのこの山 VS たけのこの里

 

 

6、e. t. c.

 

e. t. c.はカタカナで書くと「エトセトラ」。何気なく使われていますが実はラテン語です。

 

こんな歌もありましたね。

   「渚にまつわるエトセトラ」

 

 

e. t. c. は略さずに書くとET CETERA、ラテン語式に読むと「エット ケーテラ」です。

 

etは英語のandに当たる単語です。

「リンゴとバナナ」は「リンゴ et バナナ」、

「リサとガスパール」は「リサ et ガスパール」です。

 

ceteraは「他のもの」、英語だとother things

 

あわせて、et ceteraで”and other things”「それと他のものも」という意味になります。

 

こなれた英語だと”and so on”、日本語だと「その他もろもろ」ですね!

 

用例:

 まりちゃんへ

 こんどお茶したら、たくさんおしゃべりしたいな。この前大学の前にできたカフェのこととか、今度のラテン語のテストのこととか、今はやりのマンガとか、恋バナとか、お気に入りのコーヒー、紅茶、LINEスタンプ、お菓子、服、etc.

まりちゃんも近況を教えてね♡

 

 

7、R. I. P.

 

R. I. P.は誰かが亡くなった時に贈る言葉です。

有名人が亡くなった時にTwitterでRIPやR. I. P.と書く人もいます。

 

この記事の執筆中はこんなタグがありました。

              #SeanConneryRIP

 

R. I. P.はもともとRequiescat in paceというラテン語で、意味は「平和のうちに安らげ」です。

Rest in peaceという英文を略したものだと考えることもできます。

 

Requiescatは「休む」という意味の動詞requiescoが元で、「休むがよい、安らげ」という命令のニュアンスが込められています。

 

inは「~の中に」を意味する前置詞、

paceは「平和」という意味の名詞pax(パックス)の変化したものです。

 「パックス・ローマ―ナ」のパックスですよ。

 

in paceで「平和のうちに」となります。

 

全部あわせてRequiescat in paceで「平和のうちに安らげ」という意味です。

英語のRest in peaceも同じ意味です!

 

用例:

 まりちゃんへ

この前、ショーン・コネリーが亡くなったよね。ちょっとしぶいけど私007とか好きで家族とよく見てたからとってもショックだった。ロシアより愛をこめてなんて最高だし、とってもかっこいいの!       ショーン・コネリーRIP

 

 

8、Q. E. D.

 

Quod erat demonstrandumの略です。数学の証明問題の末尾にQ. E. D.と書くことで、議論が終わっていると示すことができます。

中学や高校の数学の授業で書くように指示された人もいるのではないでしょうか。

 

意味は「これが証明されるべきであった」です。

 

Q. E. D.の前で書いていたことが自分の主張したかったことなのです! という軽い宣言みたいなものです。

 

 

 

ここから先は日本語よりも英語の文章の中でよく使われるラテン語の略語を紹介します!

 

 

9、i. e.

 

i. e. はもともとid estです。

idは指示代名詞で「それ」と訳せます。

estは英語のbe動詞にあたるものです。

 

あわせて、id estは英語のthat isとなります。意味は「すなわち」です。

すでに出した言葉を別の単語で言い換える時や説明しなおす時に使います。

 

用例1:

The kangaroo is a marsupial (i. e. pouched animal)

「カンガルーは有袋類(おなかに袋がある動物)である」

出典

 

用例2:

 まりちゃんへ

この前は久しぶりに話せて楽しかった。あの難しい授業 i. e. ラテン語の授業の後だからなおさら嬉しかったよ。ラテン語の勉強はたいへんなこともあるけど、読めたら楽しいしずっと役に立つから、これからもがんばりたいな。まりちゃんはラテン語の勉強どう?

 

 

 

10、e. g.

 

e. g. はexempli gratiaの略です。読みは「エグゼンプリー グラーティアー」で意味は「例えば」です!

 

exempliは「例」を意味する名詞exemplumが元です。exempliだと「例の」という意味です。

gratiaは「~のため」という意味です。

 

あわせると、「例のため」つまり「例えば、例をあげれば」となります。

exempli gratiaはキケロなど紀元前のラテン語ネイティブたちも使っていた表現です。

 

用例1:

I prefer quiet activities, e. g. reading or embroidering.

「私は静かなもののほうが好きです、たとえば読書や刺しゅうなど」

出典

 

用例2:

 あすかちゃんへ

お手紙ありがとう。この前はたくさんお話できて楽しかったね。ラテン語の勉強って時間がかかって他の外国語とはちょっと違うよね。でも先生はすごく楽しそうに授業するし、ラテン語できる先輩 e. g. Nさん、Kさんはとってもかっこいいから私もあんな風になりたいと思って勉強してるよ。そうだ、こんど一緒に宿題しない?          fromまり

 p. s. 私もショーン・コネリー好きだよ

 

 

 

11、cf.

 

cf.はconferの省略形です。

conferは「比較する」という意味の動詞conferoの命令形なので、意味は「比較せよ」または「参照せよ」です。

「話題にしたこのことについては、この本の他のページや他の本を見たらもっと詳しくわかりますよ」というニュアンスで使われます。

 

用例1:

For the more salient remarks on the matter, cf. Isis Unveiled, Vol. 1.

(出典:コウビルド英英辞典)

「これに関するより重要な記述については、Isis Unveiled, Vol. 1.を参照せよ。」(私訳)

 

用例2:

 まりちゃんへ

お誘いありがとう!ぜひ一緒にラテン語の宿題をしよう。勉強しやすいカフェを調べたけど、「テベレ川のほとり」ってところはどうかな?

 cf. ブログ記事→「【勉強するならここ!】静かで机の大きいカフェ20選」

 

※架空のカフェとサイト名です。

 

12、n. b.

 

n. b.はNBやnb.とも書かれます。

どれもnota bene「ノター ベネ」の略です。

 

notaは「注意する」という意味の動詞notoの命令形です。

beneは副詞で「よく」です!英語のwellに相当します。

 

あわせて、「よく注意せよ」という意味です。

 

用例1:Tickets are non-refundable.

「発券後は払い戻し不可」

出典

 

用例2:

カフェ「テベレ川のほとり」にやってきたまりあすか

カフェの入り口にはこんな貼り紙がありました。

NB:このカフェの店主はラテン語マニアです。お客様とラテン語の話ができるのを何より楽しみにしています。よろしければお付き合いください。

 

まりあすかはワクワクドキドキしながらカフェに入っていきました。

まりとあすかのその後はいかに?

 

略語の説明は以上です。

参考になれば幸いです!

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