ラテン語学習

ラテン語をこれから学ぶ人に伝えたい【文法の仕組みと3つの関門】

2020年8月27日

 

ラテン語を勉強したい。でも、まず何をしたらいいのかな?

 

こんな疑問にこたえます。

 

本記事の内容

ざっくりわかるラテン語文法:まずは大枠から

つまずきやすいポイント:ラテン語文法の3つの関門

ラテン語の勉強方法:おすすめの文法書とは

 

わたしは、かれこれ10年以上ラテン語を勉強しています。

今でこそラテン語を読むのが大好きですが、はじめの頃はダメダメでした。

 

学習期間10年の間にもブランクがいくつもあります。

 

1回目:はじめて半年でわからなくなってやめる

 

2回目:なんとか初級文法を終えるも、読むのはまだまだ

 

3回目:文法を復習しながら、読めるようになっていく 

 

つまり、文法を身に着けるのにこれだけ学習を繰り返したのです。

こんな学習歴を経て今思うのは、ラテン語の勉強をはじめた時に「あれを知っておけばよかった」 ということです。

 

あれとは、ラテン語文法の全体像です。

全体像がわかれば、今自分がどのあたりを学習しているのかがわかります。

 

加えて、つまずきやすいポイントを事前に知っておくのもいいでしょう。

 

この2つがあるだけで勉強のしやすさが各段に上がります!

まさに、彼を知り己を知れば百戦殆うからずなのです。

 

具体的な内容を以下で解説していきます。

最後におすすめの文法書も紹介しますね。

 

ざっくりわかるラテン語文法:まずは大枠から

 

 

彼を知り己を知れば百戦殆あやうからず」の「彼」に当たる部分です。

これから挑む相手のことを把握しておけば、うまく対応することができるでしょう。

 

ではさっそくいきますよ。

 

 

アルファベット

 

アルファベットは英語と同じです。

abcdefg・・・・・がラテン語でも使われています。

 

動詞

 

動詞はたくさん変化します。

「動詞の変化って何?」って思ったあなた。

 

実は英語にも動詞の変化ってあるんですよ。

 

たとえば、

l love cats. と she loves cats. という文。

 

Iの動詞はloveですが、

Sheの場合だとlovesです。

 

もうおわかりですよね。

Sheの時に動詞が変化して、sがついています。

いわゆる「三単現のs」です。

 

このように、英語では「三人称・単数・現在」の場合だけ動詞が変化するのです。

 

ラテン語ではどうかというと、なんとラテン語では全人称・単数複数・全時制で形が違うのです!!!

 

たとえば、「愛する」という意味のamoの現在だと、

 

単数 複数
一人称 amo amamus
二人称 amas amatis
三人称 amat amant

 

というように、変化します。

 

3つの人称 × 2つの数(単数or複数) = 6

 

現在だけでも6通りの形があるのです。

 

これはあくまでも現在形の変化。他に未来形、完了形などがあってそれぞれ6通りに変化します。

 

ぎょっとするかもしれませんが、意外と大丈夫です。

なぜなら、ある程度の法則性があって、時制が違っても語尾は似通っているからです。一つ覚えていくごとに、次のが覚えやすくなっていきます。

 

 

名詞

 

名詞の形も変化します。

 

何それって思うかもしれませんが、実は英語でも変化する名詞ってあるんですよ。

次の文を比べてみてください。

I love cats.

「私はネコが大好き」

 

She gives me a book.

「彼女は私に本をくれた」

 

ひとつめでは「私」がIなのに、ふたつめではmeになっています。

 

どうして形が違ってくるのかというと、Iは「私は」というのは主語なのに対して、meは「私に」という意味になるからです。

 

このように、英語ではIやSheやYouなどの人称代名詞に限り、主語なのか目的語なのかによって形が変わるのです。

 

 

一方、ラテン語ではすべての名詞が文中での機能によって変化します。

 

例えば、「バラ」rosaは

 

主語「バラは」だと、rosa

呼びかけ「バラよ」だと、rosa

目的語「バラを」だと、rosam

属性「バラの」だと、rosae

与える相手「バラへ」だと、rosae

手段「バラによって」だと、rosa

 

というように変化するのです。

ちなみに、この変化を「格変化」と言います。

 

これは単数の格変化です。

 

複数だと、また違った変化をします。

単数と複数をまとめて表にするとこうなります。

 

単数 複数
主語「バラは」 rosa rosae
呼びかけ「バラよ」 rosa rosae
目的語「バラを」 rosam rosas
属性「バラの」 rosae rosarum
与える相手「バラに」 rosae rosis
手段「バラによって」 rosa rosis

 

以上がrosaの変化の仕方です。

もちろんrosaだけではなく、すべての名詞がこのように変化します。

 

名詞の変化の仕方は5種類。

rosaは第一変化にあたります。

 

第一変化

第二変化

第三変化

第四変化

第五変化

 

があり、すべての名詞がこの5つのうちのいずれかの変化をします。

一つずつ順番に勉強することになるでしょう。

 

形容詞

 

形容詞も変化しますが、変化の仕方は名詞と同じなので楽チンです。

 

代名詞

 

人称代名詞、指示代名詞、関係代名詞も名詞と同じように変化します。

 

はじめはとまどうかもしれませんが、結局は長く続けてどれだけ慣れるかの問題です。

 

前置詞、副詞

 

前置詞や副詞はいいですよ!

なぜなら変化せず、形が一定だからです。

 

その他

 

他にも、ラテン語ならではの特徴があります。

 

1、主語はない場合が多い

 

ラテン語には主語がない場合が多いです。

動詞を見れば、その文章の主語が「私」なのか「彼」なのかが分かるから明示する必要がないのです。

たとえば、amamusという一語からなる文があったとします。

動詞が一つだけですが、主語が何かはこれだけでわかります。

さて、なんでしょうか?

 

 

amoの変化表をもう一度見てみましょう。

単数 複数
一人称 amo amamus
二人称 amas amatis
三人称 amat amant

 

amamusは「一人称・複数」の場合の形であることが表からわかります。

「一人称・複数」とは「私たち」のこと。

つまり、amamusの主語は「私たち」なのです。

「私たちは愛する」となります。

 

あえて、主語が書かれるとすれば、「カエサル」とか「マルクス」とか三人称の固有名詞の場合ですね。

 

2、語順は決まっていない。

 

ラテン語では語順が決まっていません。これは英語やフランス語との大きな違いです。

英語やフランス語は語順が大事です。

I love cats.だと、

文のはじめに来るIが主語、

次のloveが動詞、

動詞の後のcatsが目的語

 

というように、語順で文法上の働きが決まっています。

 

しかし、ラテン語だと語順は大事ではありません。

なぜかというと、名詞が複雑に変化するおかげで、名詞を見るだけで、主語なのか目的語なのかがわかってしまうからです。

 

 

つまずきやすいポイント:ラテン語文法の3つの関門

 

さて、以上がラテン語文法の大枠でした。次は、この中でも特にやっかいな点を紹介します。

 

彼を知り己を知れば百戦殆あやうからず」の「己」に当たる部分です。

 

ラテン語を学ぶ上で、つまずく箇所はだいたい同じです。これを読んでいるあなたも、学習を進めるうちにきっと同じところで「あれ?何これ!むずかしい。今までと違う」と感じることと思います。

 

でも、自分がつまずくかもしれないポイントが分かっているだけでだいぶ勉強が楽になるものです。ちょうど、進行方向のある地点に落とし穴があると事前にわかっているだけで、歩み方が違ってくるように。

 

ここでは、つまずきやすいところを、「ラテン語文法の関門」と称してご紹介します。3つあります。

 

ラテン語文法の第一関門:名詞の第三変化

 

上で書いたように、第一変化から第五変化まであります。つまずきやすいのはどこかというと、

 

ラテン語文法の第一関門

第1変化 (rosa)   

第2変化

第3変化 ←ここ!!!  

第4変化

第5変化

 

第三変化です!

 

私は第一・二変化まではスイスイ勉強していました。

だいたい毎週の宿題は一時間くらいで終わっていたと思います。

ところが、第三変化を習ってからは一気に難しくなり、学習ペースが崩れてしまいました。

 

これからラテン語を学ぶ方は、第三変化が出てきたら学習時間を増やすことをおすすめします。

 

 

ラテン語文法の第二関門:動詞の接続法

 

第二の関門は動詞です。

上では「愛する」という意味のamoの変化を紹介しました。

 

これは、実は「直説法」という用法での変化です

これとは別に、命令、不定法、接続法という用法があります。

 

このうちのどれが関門なのかというと、

 

ラテン語文法の第二関門

直説法

命令

不定法

接続法 ←これ!!! 

 

接続法です。

接続法を学ぶと、「これまで覚えてきた変化はなんだったの!」と混乱します。

それまでに覚えてきた動詞の変化とまざってしまうからです。

 

これまでの記憶が一度破壊されて、頭を整理して覚えなおすことになるので、軽いショックですよ。

 

でも、みんなが通る道ですので、やっているうちにわかるようになるさと、気楽に勉強を続けましょう。

 

ラテン語文法の第三関門:代名詞

 

人称代名詞、指示代名詞、関係代名詞などがあります。つまずきやすいのがどこかというと、

 

ラテン語文法の第三関門

人称代名詞

指示代名詞

疑問代名詞・形容詞 ←ここ!!!と 

関係代名詞  ←ここ!!!

 

疑問代名詞・形容詞と関係代名詞です。

 

 

quではじまるのが多すぎるんですけど、、、!

 

きっとこんなふうに言いたくなるでしょう。

 

quで始まる単語が出てきて、はじめはとまどうのも無理はありません。

でも、すべての活用を一度で覚えようとしなくても大丈夫。

 

文法書の活用表を見ながら練習問題を解いているうちに、慣れていきます。

 

私も、疑問代名詞・形容詞などの変化を覚えたのはだいぶその他の文法事項をマスターしつつ、ある程度余裕ができてからでした。

 

以上がラテン語文法における3つの関門でした。

 

ラテン語の勉強方法:おすすめの文法書とは

 

ここまで読んでラテン語文法をざっくりつかんだなら、次にやるのはラテン語を実際に勉強してみることです。

 

ラテン語の勉強は、まず初級文法を学ぶことからはじまります。

初心者用の文法書を一冊終えればOKです。

勉強の仕方ですが、ラテン語の初級講座を受講するのがおすすめです。

 

大学生のあなたは、

 

ラテン語の講義が開講されているかを確認しましょう。

自分の大学にない場合は、どこかの大学にもぐって授業を受ける手もあります。

(オンライン授業が主流の今、それができるかは要確認ですが)

 

大学生でないあなたは、

 

近くのカルチャーセンターなどでラテン語の授業があるかを調べましょう。あればラッキーです。

 

もし万が一大学やカルチャーセンターなどの講義が受けられない場合は、独学することになります。

でも心配いりません。独学でラテン語を身につけている人もたくさんいますよ。

 

独学に向いている文法書も出ています。

こちらです。

 

 

この文法書は親切なことに、練習問題の解答がついています。

これって実はすごいことなのです。なぜなら、たいていの文法書は授業で答え合わせをすることが前提になっているので解答が載っていないからです。

 

独学向きに書かれた文法書なので、説明も詳しいです。

まずはこれを一冊持っていれば安心です。

 

講座に出て勉強する人も、復習用に手元に置いておくと役に立ちますよ。

 

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