ラテン語学習歴10年以上のさあやがラテン語の教科書『しっかり学ぶ初級ラテン語』のレビューをします!
『しっかり学ぶ初級ラテン語』
ざっくりいうと…分かりやすさNo.1、独学でラテン語を勉強する人にぴったりです。
詳しい解説があって、とにかく分かりやすい。
ラテン語は難しいと言われがちですが、この本では短い例文を使いながらわかりやすく丁寧に解説してあるので、じっくり読んでいけば大丈夫。
この一冊があれば独学で学ぶ初心者もスムーズに勉強を進めていけます。
独学でラテン語が身につくか不安な人は、とりあえずこの本からはじめてみるのがおススメです。
(裏表紙)
「ラテン語を基礎からきちんと学びたい人の本格的な入門書」とうたっているのも納得できる内容です。
もちろん、講義を受けていて他の本で勉強しているという人にもおススメ。
詳しく丁寧な解説は講義の予習にも復習にも活躍しそう。
メリットとデメリット
この本のメリットは3つあります。
3つのメリット
- 解説が詳しい
- 練習問題の解答つき
- 例文が豊富
一つずつ解説します。
メリットその1
解説が詳しいので、この本を読んでじっくり取り組めば、ラテン語が読めるようになります。
「ここまで書いてくれるの!」というくらい、ラテン語文法が丁寧にわかりやすく説明されています。
読んでいくと、実際に授業を受けているような感覚におちいります。
それもそのはず、授業で先生が説明することと板書する内容がすべてこの本には書かれているからです。いわば、講義を書き起こしたようなものなのです。
ラテン語の勉強に興味はあるけど、独学で続けられるか抵抗がある人は、とりあえず
この本を選べば安心です。
また、カルチャーセンターなどのラテン語講座が近くにない人や、忙しくて通えない人でも、この本を読むことでラテン語の講義を受けるのと同じくらいの情報量を得ることができます。
しかも、本なので何度でも読み返せるのもいいですね!
メリットその2
練習問題の解答がついています。答え合わせができるため、理解できているかを確かめながら学習を進めていけます。
ラテン語の教科書ではたいてい新しい文法内容が出てくるたびに、それに対応した練習問題が課されます。解答は他の本ではよく省略されていますが、この本には載っているのです!
すぐに答え合わせができるので、気分もすっきり、理解度チェックもばっちりです。
メリットその3
例文が豊富で、例文の文法解説も充実しています。
例文に使われているのはラテン語が話されていた頃、つまり古代ローマの時代の文章です。
たとえば、キケロとかウェルギリウスとかオウィディウスとか。
2000年以上受け継がれてきたラテン語を実際に読めるのは、ラテン語学習者にとってこの上ない喜びです。
しかも、単語の意味はすぐ下にのっているので、辞書がなくても大丈夫。
習った文法を駆使しながら読み進めていけます。
もちろん、初心者にはハードルが高いかもしれません。
はじめからすべてを理解しようとしなくても、
何度か見返すうちにだんだんわかるようになっていきます。
3つのメリット ↓
デメリット
詳しい解説のせいで、ページ数が多いです。他の本と比べるとかなり分厚く、重たいです。
ページ数は大学の講義でよく使われる『標準ラテン文法』の3倍以上。
総ページ数は『標準ラテン文法』が110ページなのに対して、『しっかり学ぶ初級ラテン語』は358ページあります。
これだけのページ数なので、カバンに入れて通勤通学の電車内で読むにはちょっと重たいかもしれません。
コンパクトな教科書がいいという人には別の選択肢があります。
→「ラテン語の教科書比較」記事
もしくは、『しっかり学ぶ初級ラテン語』のkindle版ですね。
他の本との違い
ざっくり表にまとめるとこんな感じです。
『しっかり学ぶ初級ラテン語』 | 他の本 | |
解説の詳しさ | ◎ | △ |
練習問題の解答 | 〇 | なし |
字の大きさ | ◎ | △ |
本の重さ | 重い! | 軽い! |
なんども書いていますが、この本の特徴はくわしい解説があることと、練習問題の解答が本文の最後に載っていること❕
他の本だって同じでは? と思うかもしれませんが、そんなことはないのです。
なぜなら、他の本は主に大学での授業で使うことを念頭において書かれているからです。
授業で先生が解説するので、本の説明は短め。
しかも授業で先生が練習問題の答え合わせもするから、解答もついていません。
その点、『しっかり学ぶ初級ラテン語』は詳しい解説も解答もすべて358ページの中に備わっています。
これって、すごいことなのですよ (>_<)
独学でラテン語を学ぶ人にはありがたい本です。
他もこの本ならではの特徴があります。
◎メールで質問できる
◎著者のホームページが便利
本の「はじめに」によると、わからないことがあればメールで質問できるそうです。
(著者である山下太郎さんのホームページから問い合わせるとよいみたい)
出版されたのが2013年なので、すでに質問の数がたまっていて、
Q & Aのまとめがホームページに載っています。
他にも、単語集や例文集、正誤表などお役立ち情報がホームページには満載。
この1冊でいろいろ楽しめます。
それもそのはず、この本を書いた山下太郎さんは大学の教授ではなく、ご実家が経営している幼稚園の園長さんなのです。
そのかたわら、大学院で研究していたラテン語を教えているので、様々な学び方をする人たちへの理解が深いのです。
まとめると、1冊でこれだけ充実しているのはこの本だけです!
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