ラテン語について

【超初心者向け】ラテン語とは?【中学生OK】

2020年6月6日

 

ラテン語ってなに? どんな言葉? 今も使われている?

 

こういった疑問に答えます。

 

✔ 本記事の内容

・ラテン語とは? 時代と場所を解説

・ラテン語ってどんなの?

・ラテン語を学ぶメリット・デメリット【時代ごとに解説】

・ラテン語を学ぶ方法【挫折OK】

 

ラテン語とは? 時代と場所を解説

 

ラテン語は古代ローマで話されていた言葉です。

 

時代

 

ラテン語が使われていたのは、古代ローマです。いつから使われていたのかを厳密にさかのぼることはできませんが、書き言葉として広く使われるようになったのは紀元前3世紀です。

ラテン語はそれからローマ帝国が滅びる476年まで、そしてその後も使われました。

 

話し言葉としてのラテン語

 

話し言葉としてのラテン語は次第に形を変えていきました。すぐに、もはやラテン語とはいえないレベルにいたり、それが地域によってフランス語になり、イタリア語になり、スペイン語になったわけです。

われわれ日本人は高校で古文を習いますが、古文は現代語とは全然違いますよね。ヨーロッパでも同じことが起きて、ラテン語から現代語へと、大きな変化をとげました。

とはいえ、単語はとても似ているので、ラテン語がわかると、イタリア語、スペイン語なんかもなんとなくわかるようになります。

英語の語源がラテン語であることについては、こちらの記事をどうぞ。

なぜラテン語は英語の語源なのか【理由は2つ】

 

書き言葉としてのラテン語

 

一方で、ラテン語は書き言葉としては長い間使われ続けました。

なぜなら豊かな文明を誇ったローマ帝国で、すでにラテン語は書き言葉としての地位を獲得していたからです。ラテン語を使い続けるのが便利であったのでしょう。

書き言葉として使われたのは、主に学問や政治や教会などでした。だから、研究する人も、政治や法律に携わる人も、教会の聖職者たちも、ラテン語を熱心に学ぶことになりました。

この点では現代における英語と似ていますね。

 

場所

 ラテン語はもともと現在のイタリアの首都ローマで話され、書かれていました。

はじめは小さい地域での言葉でしたが、しだいにローマを中心に発展したローマ帝国が領土を広げていくにしたがって、ラテン語がつかわれる範囲も拡大していきました。

具体的には、ローマ帝国の領土全体です。

 

地図からもわかるように、今のイタリア、フランス、スペイン、ポルトガル、などなど広い地域でラテン語が使われるようになりました。

これらの地域では、さきに書いたように、時代を経てラテン語がイタリア語、フランス語、スペイン語へと変化していきました。これらはラテン系の言葉としてくくることができます。

さて、時代は移り、大航海時代になりました。コロンブスが大西洋を航海したのを皮切りに、ヨーロッパのラテン系言語をあやつるラテン系の人々が南アメリカへと渡ります。主に、スペイン人とポルトガル人ですね。

彼らラテン系の人たちが南米に居住したことから、南アメリカは「ラテンアメリカ」と呼ばれるようになりました。南米の音楽を「ラテン音楽」というのもこのためです。この場合、「ラテン語」との関連はないと考えていいでしょう。

 

ラテン語ってどんなの?

ラテン語って具体的にどんな言葉なのかについても紹介しますね。

身近なラテン語

ずばり、われわれの身近にもラテン語はあります。たくさんある中で、とくに身近なのがこちらです。

 

身近なラテン語3選

その1:a.m.  p.m.

その2:p.s.

その3:corona

 

その1:a.m.  p.m. はそれぞれ「午前」、「午後」という意味です。

ante meridiem 正午の前

post meridiem 正午の後

を略したものです。

 

その2:p.s.

手紙やメールの最後に書くp.s.はラテン語postscriptの略です。

日本語だと「追伸」です。

 

その3:corona

日々、耳にし、口にのぼる「コロナ」もラテン語です。

ラテン語coronaの原義は「冠」でした。そこから派生して、太陽のまわりのガスの意味を持つようになりました。

コロナウイルスにこの名が付けられたのは、ウイルスの形状が太陽のコロナと似ていたからです。

 

このように、今でも身近なところでラテン語が使われています。

 

以前のラテン語

ラテン語は教会音楽の中にも出てきます。なぜなら、ラテン語が話されなくなってからも、文字や言葉としては残ったからです。その残った場所の一つが教会なのです。

代表的なのはこちらです。

 

モーツァルトのレクイエム

 

 

作曲したモーツァルトは1756年生まれ、1791年没です。

 

もっと前のラテン語

 

ラテン語が書き言葉でもあり、話し言葉でもあった古代ローマのラテン語も紹介します。

 

De Bello Gallico

Gallia est omnis divisa in partis tris, quarum unam incolunt Belgae, aliam Aquitani, tertiam qui ipsorum lingua Celtae, nostra Galli appellantur.

 

 

カエサルが紀元前52~51年頃に執筆した『ガリア戦記』の冒頭です。和訳も載せておきます。

 

ガリアは全部で三つにわかれ、その一にはベルガエ人、二にはアクィーターニー人、三にはその仲間の言葉でケルタエ人、ローマでガリー人と呼んでいるものが住む

(近山金次訳、岩波文庫

 

 

ラテン語を学ぶメリット・デメリット【時代ごとに解説】

 

時代ごとに解説します。

 

一昔前

 

ラテン語を学ぶメリット@欧米

上級学校に進める、ラテン語で書かれた文学を楽しめる、出世できる、論文が書ける

 

ラテン語を学ぶデメリット@欧米

たいへん、めんどくさい、勉強させられて嫌いになる

 

こんな感じです。かつては、ヨーロッパやアメリカでは学問や出世にラテン語が欠かせなかったので、ラテン語は必修でした。

 

 

ラテン語を学ぶメリット

人とは違う特別感がある、楽しい、英語の語源がわかる、一目置かれる、研究に役立つ

 

ラテン語を学ぶデメリット

 

たいへん、めんどくさい、変な人扱いされる、収入につながらない、学ぶ仲間が少なくて孤独

 

こんな感じ。ラテン語を勉強すると、人とはちょっと違ったわくわく感を味わえます。他の言葉への理解も深まりますよ。

 

ラテン語を学ぶ方法【挫折OK】

 

今でも学んでいる人は意外といます。日本にも。

しっかり取り組めば、2000年以上前に書かれたラテン語を読めるようになりますよ。

その手順を順に解説しますね。

 

 

ラテン語を学ぶ手順

1、文法をマスター

2、練習問題をときながら文法を定着させる

3、文章をたくさん読んで慣れる

 

 

 

1、文法をマスター

 

まず、文法をマスターします。いくら古いとはいえ、ラテン語も言葉。その仕組みである文法はとっても大事。

 

初心者が文法の仕組みをさくっと理解するのにおすすめなのが、この本です。

『ラテン語の仕組み』小倉博行

 

 

まずはこれをざっと読んで、ラテン語の文法がどんなのかをつかむとその先の勉強がしやすくなります。

この本のあとは、本格的に文法を学ぶ段階です。

独学するのにおすすめなのはこちら。

(文法書の詳細はこちらをどうぞ「ラテン語文法書徹底比較」)

『しっかり学ぶ初級ラテン語』

 

 

独学用に作られているため解説がとても丁寧です。

2、練習問題をときながら文法を定着させる

 

文法書で習ったことをしっかり定着させて、すいすい使いこなせるようになるには、練習問題を繰り返し解くのがいいですよ。

文法書にもたいてい練習問題はついていますが、

もっと練習を積み重ねたい人にはこちらがおすすめ。

『しっかり身につくラテン語トレーニングブック』

 

 

さっきの文法書と同じ方が書いたものなので、ぜひセットでどうぞ。

 

3、文章をたくさん読んで慣れる

 

練習問題をある程度こなしたら、いよいよラテン語の長文を読む段階です!

それぞれが読みたいものを読むのが一番。

なぜなら、そのほうが勉強するのが楽しくて続けやすいから。

たいていの人は、ラテン語を学ぶ段階で何か読みたいものがあると思います。それをぜひ読んでみてください。はじめはゆっくりペースでも、ラテン語の原文で読める喜びは格別です♡

特に読みたいものがない方にはこちらがおすすめです。

 

初心者におすすめのラテン語

・カエサル『ガリア戦記』

・キケロ『スキピオの夢』

 

 

 

 

理由ふたつ

1、文章がわかりやすいですし、日本語訳もあるので勉強しやすいです。

2、ラテン語としてすてき。

いわゆる黄金期のラテン語で、あとの時代でラテン語作文をする時のお手本となったラテン語です。はじめに読むラテン語はぜひ模範的ないい文章を。

 

以上、ラテン語についての超初心者向け解説でした。

 

ラテン語に興味が出てきたら、ぜひトライしてみてください。

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